派遣社員のはなえさん(39歳・仮名)は、4人の子供を持つシングルマザーだ。元夫からの暴力と借金、不倫に耐えかねて離婚。いま養育費の振り込みは止まっていて、生活はギリギリだが、実は人気YouTuberとしての顔もある。なぜ動画を投稿するようになったのか。フリーライターのツマミ具依氏が取材した——。
乳母車を押す女性の影
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母子家庭の平均年収は243万円

先進国のなかで、ひとり親家庭の相対貧困率が最悪水準にある日本。厚生労働省による令和2年4月の調査によれば、ひとり親家庭のうち、母子家庭が123万2000世帯、父子家庭が18万7000世帯で、約87%にあたるほとんどが母子家庭となっている。そして平均年収については、母子家庭が243万円に対し、父子家庭は420万円で、2倍近く差がついており、シングルマザーが経済的に苦しい状況にいるのは明らかだ。ただ、シングルマザーが陥る生活苦は、経済的な問題だけではない。

「やっと落ち着いて暮らせるようになりました」

4人の子供を育てるシングルマザーのはなえさん(39歳)は、過去を振り返ってこう口にした。月収17万円の派遣社員をしながら昨年末からYouTuberとしても活動し、チャンネル登録数は1万8000人を超える。これまでシングルマザーとして必死に生き抜いてきた彼女は、どのようにして今の生活にたどり着いたのだろうか。

千葉県で4人きょうだいの長女として生まれたはなえさん。生まれ育った家庭からして、平穏な暮らしとは程遠いものだった。