6歳年上の彼と結婚して幸せになるはずが…

「夫婦喧嘩がひどくて、母親が包丁持ちだして『死んでやる』と大騒ぎすることはしょっちゅうありました。母親はいわゆる毒親です。私に依存してきて、コントロールしようとする。思い通りにいかないと、ものを壊したり、暴力を振るわれたりして……電話のコードで首を絞められたこともありました」

早くこの家から出たい。そんな思いが大きくなるなか、高校3年生のときに地域のボランティア活動で6歳年上の社会人の男性と出会った。実家から逃げるように、彼との交際が始まった。

「結婚を前提に彼と同棲し始めると、母親は『娘が誘拐された!』と警察沙汰にして、近所に『この人を探してます』と張り紙されて嫌がらせをしてきました。玄関に切り裂かれた自分の服が置かれたり、灯油をまかれたりしたこともありました。母親からの嫌がらせは2年ほど続きました」

19歳の時に妊娠し、結婚。ようやく手に入れた幸せな暮らし……になるはずだった。

「でも、自分の家の異常さをわからなかったんです」

「気づいたら、親の機嫌を取るように生きてきたのが、夫に代わっただけ。何かあれば怒鳴られて暴力。赤ちゃんの夜泣きにも『うるせぇ!』とものすごく怒られて、夫が寝る寝室から一番離れた玄関で、子どもを寝かしつけながら一晩過ごすこともありました。

でも、私は自分の家の異常さをわからなかったんです。突然キレたり物を投げられたりするのは、母も同じ。私にとって、そういう人がいることは普通のことでした」

パートで働くようになったとき、パート仲間から聞いた夫婦関係は対等で、自分の家との違いに驚いた。しかも、夫の問題は暴力だけではなかった。

「夫は人間関係でもめてすぐに会社を辞めてしまうので、家計はいつもギリギリの状態でした。仕事はトラックの運転手とか、飲食のアルバイトで、月収はだいたい25万円くらい。無職の期間も度々あったのに、毎月5万〜6万円は夫のお小遣いに消えていきました。

そのお金を何に使うかというと、浮気です。夫には女性の影が常にありました。だけど夫が怖くて、見て見ないふりをしていました。子供の行事の七五三にも車の保険にもお金は使わないのに、女性と遊ぶために消費者金融からも借りるようになりました。これ以上借入ができないとなれば私のクレジットカードを使うようになり、借金は総額950万円まで膨れ上がりました。その後、夫は自己破産をしました」

暴力、借金、女性関係、という三重苦のうえ、結婚して8年の間に4人の子供を出産している。