好きなだけ料理を取って食べる食事のスタイル「バイキング料理」が始まったのは1958年のこと。発祥の地は日比谷の帝国ホテルだ。現在、本館17階にある「インペリアルバイキング サール」では伝統を守り、朝、昼、晩の3食、宿泊客と一般の客に本家本元のバイキング料理を提供している。料理の数は前菜、メーンからデザートまで常時50種類。特に好評なのは、シェフが目の前でサービスする、牛ヒレ肉のパイ包み焼きとローストビーフだ。
同レストランを訪れる客数は月間2万5000人。帝国ホテルのなかでも断トツの人気である。そのため、200人を収容する広い客席はつねに大勢の客でいっぱいだ。レストランを支えるスタッフの数は料理人が10人、サービスが20人。いずれも交代勤務で大勢の客を相手に日々、奮闘している。
朝礼は原則として昼食と夕食の前に行う。料理人とサービススタッフは別々に朝礼に参加するが、どちらもテーマとしているのは「清潔」、そして、「帝国ホテルらしいサービス」だという。
サービススタッフを率いる支配人の上貞淳嗣氏は次のように語る。
「レストランスタッフにとってもっとも大切にしなくてはならないのが清潔と衛生です。うちのレストランは大勢の方が利用されますから、衣服についたホコリが部屋に舞うこともある。つねに清潔を保つよう気をつけています」
朝礼では清潔、衛生を意識させるための工夫が見られる。朝礼スペースの横にセットされたテーブルには、洗剤、水、消毒液を入れた洗面器が並ぶ。朝礼後、全員が手を洗い、さらにリントローラーというホコリを取る道具で、上着やズボンから細かいゴミを除去する。加えて、スタッフ用の化粧室は消毒液で手を洗ってからでないと、ドアが開かないシステムになっている。清潔の大切さを徹底しているのが帝国ホテルの朝礼だ。