大企業だからこそ「名前を覚えてもらう」が大事になる

2つ目は、SNSでの発信を通じて「社内で名前を覚えてもらえる」からです。

管理職などの裁量権の大きい人のもとには、日々あらゆる案件が舞い込みます。通常は、人によってアウトプットの差が出にくい仕事は若手社員に振り分けられることが多く、アウトプットの差が大きい「創造的な仕事」はエース社員や、管理職が信頼する社員に振り分けられることが多いです。コロナの影響でリモートワーク中心になったことで、人間関係の構築が難しくなっている今、管理職の方が全く知らない社員に「創造的な仕事」を依頼することはほとんどなくなりました。

とはいえ、まれに予算の都合などから、「創造的な仕事」を若手に振らざるを得ない状況もあります。これは若手にとって大きなチャンスです。しかし大企業の若手社員は、普段アウトプットの差が出にくい仕事をしているため、管理職の方は明確に優劣をつけられません。そんな時に、ツイッターでなんとなく「存在」を知られていることは、大変有利に働きます。どれも同じに見えるとき、なんとなく知っているほうを選ぶという構造は、CMと同じです。大企業では、たくさんの人が働いているので、名前を覚えてもらうこと、それだけでも大きな価値があります。

個人発信のポジティブな口コミが重視される時代

大企業で働く会社員がSNSを活用するメリットはまだまだたくさんあります。今回は、「会社員側」のメリットを挙げましたが、私は「企業側」にもメリットがあると思っています。

これまでの時代は、大企業が一方的にポジティブなメッセージを発信すると、それらに対する一部のネガティブな声は拾われなかったので、なんとなく「大企業=良い会社」というイメージを醸成することができました。しかし、ソーシャルメディアによって生活者の声が可視化され、企業のネガティブな情報も拡散されるようになったことで、単純に「大企業=良い会社」というイメージを抱く人は、ほとんどいなくなりました。

そして良い会社の評価基準は、企業発信のポジティブなメッセージよりも、個人発信のポジティブな口コミのほうが重視されるようになりました。

そんな時代だからこそ、企業目線での一方的な声ではなく、大企業で働く個人の自由な声が、結果的に企業ブランドを育てるうえで大切になってくると私は思っています。

Nizi Projectでも話題になった韓国の名プロデューサーのJ.Y.Parkさんが、アイドル候補生の方々に向かって「カメラの前でできない言動や行動は、カメラがない場所でも絶対にしないでください。気をつけようと考えないで、気をつける必要がない立派な人になってください。」と言っていました。個人が、企業の人格をつくっていくこの時代に、J.Y.Parkさんの言葉がやけに胸に残りました。

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