集中術その4 「ゲーム感覚を取り入れる」

「やっぱり楽しむのが大事です」

谷合さんに、子供の集中力を高めさせるコツを伺ってみると、このような答えが返ってきた。

「親ができることとしては、お子さんが楽しいと思える環境をつくってやることですかね。私が公文に夢中になったのは、どんどんレベルが上がっていくような競争心を刺激する仕組みがあったからだと思うんです。教材が進んでいくと嬉しいし、進度が速いと冊子に名前が載ることもあり、それもモチベーションになりました。受験勉強の全国模試もある意味、全国対戦型ゲームのような感覚はありましたね。勉強に集中するコツは、それを楽しむことです。誰だって嫌なこと、苦しいことには集中できないもの。だから、どうすれば楽しいと思えるかを工夫すればいいのではないでしょうか。プログラミングも、自分で工夫していろいろなものを作れるので、この感覚を楽しいと思う子にはいいと思います」

『プレジデントFamily2020秋号』(プレジデント社)
『プレジデントFamily2020秋号』(プレジデント社)

谷合さんの原動力は「楽しい!」という感覚だ。

「中学に進学してしばらくして、授業がつまらなくなってしまったときがありました。まったく勉強をしない時期もありましたね。代わりに夢中になったのがオンラインゲームで、徹夜でパソコンに向かったことも。小さいときからあまり干渉せずに見守ってくれた親だったのですが、そのときはさすがに叱られました」

将棋界は、競争の最たるもの。プロ入りしてからも厳しい競争は続く。そんな世界に身を置く谷合さんに、今後の目標を聞いた。

「今後の目標は、ずっと続けてきたAIの研究成果で将棋界に貢献することです。情報系に専門を持つ棋士は私以外にはいませんので、今までにない形で、将棋とAIを融合させたいですね」

(文=尾関友詩)
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