出向時代の3年間、飛行機が飛んでいくのを見ながら「飛びたい!」といつも眺めていた。だから今も飛べることがとてもうれしく、楽しいそうだ。もしもずっとCPのままシニアになっていたら、シニアの境遇に不満を持ってしまったかもしれないが、飛べなかった3年があったから、今とても冷静な気持ちで飛べているのだろう。
先輩CAから「出向した3年間は絶対に無駄ではないからね」とアドバイスを受けたという。小俣さんは「その通りでした」と静かに振り返る。
先のことは何も決まっていないというけれど……
長く働き続けたことでいろんなことが実現した。入社した頃は結婚や出産をすればCAを辞めなくてはならなかった。しかし、入社後ほどなく結婚、出産後も働けるようになり、小俣さんは結婚後も働き続けることができた。
すでに書いたが国際線定期便も羽田空港に戻ってきたので、シニアで働き始めてからは大半が国際線の業務である。国際線の業務は薄暗い中で作業することが多く、メニューなどの小さな文字が読みにくくなり苦労することもあるが、「長く働いているといろんなことが経験できますね」と小俣さんはクスっと笑う。
来年2月末に退社する。小俣さんは「その先のことは何も決めていません。どうしたらいいかもわからないのです」と話す。でもこれまでの流儀ならその時、何かが見えてくるに違いない。