パワースピーチは世界を変える。スピーチ文化のない日本がすべきこと

今回のコロナ危機は、戦争とはまた異なる種類の危機だ。前例のない危機に、どう立ち向かうか。さまざまなリーダーが、さまざまなスピーチをした。

ドイツのメルケル首相は、前例のないテレビ演説をした。このスピーチが、ドイツの人びとに共感をもって受け止められ、メルケル首相への信頼が高まった。

ニューヨーク州のクオモ知事も、注目すべきリーダーだ。3月に州で最初の感染者がみつかって以来、連日記者会見を開いている。そのスピーチは、多くのリーダーのモデルとなっている。

スピーチは、言葉でできている。
スピーチは、話す個人の考えをのべる。
スピーチは、それを聞く人びとに受け入れられる。

こうしてスピーチを核に、人びとの共通の認識がうまれる。そして、やがて、共同の行動がうまれるだろう。

スピーチのこのようなはたらきは、民主主義の骨格である。スピーチの文化のないところで、民主主義は機能しない。スピーチの文化を育てることが、世界をよくするのに重要ではないだろうか。スピーチの文化が定着しているとは言いがたい日本は、欧米並の水準に高める必要がある。

電柱に掲げられた安倍晋三氏のポスター2014年、鹿児島県
写真=iStock.com/winhorse
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こう考えて、『パワースピーチ入門』(角川新書)を書いた。コロナ危機をきっかけにした、緊急出版だ。危機に立ち向かうには、スピーチが必要だ。パワーのあるスピーチとはどんなものか、その秘密がこの本にこめられている。

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