今年3月末の国の借金は約1114兆円となった。元米モルガン銀行日本代表の藤巻健史氏は「毎年10兆円ずつ返しても111年かかる。日銀はアベノミクスの第一の矢として大胆な金融緩和に突き進んだが、その結果、歯止めの利かない事態に陥っている」という――。
安倍晋三首相(右)と会談する日本銀行の黒田東彦総裁
写真=時事通信フォト
安倍晋三首相(右)と会談する日本銀行の黒田東彦総裁=2018年4月9日、首相官邸

日銀の「Mr.時期尚早」、元ディーラーの「ハイパーフジマキ」

国会議員時代、黒田東彦日銀総裁に「異次元緩和からの出口を教えてください」と何度も聞いたが「時期尚早」との答えばかりだった。そこで私は総裁のことを「Mr.時期尚早」と揶揄していた。その私は、世間では「ハイパーフジマキ」と揶揄されているそうだ。

「政府も日銀もこんなことをするとハイパーインフレが来る」と言いまくっているからだ。私が、ハイパーインフレが来る、と主張している理由は、1000兆円を超える国の巨額な借金はもう尋常な方法では返済できないと思うからだ。

「年収が630万円の家庭が毎年1000万円使って借金を1億1140万円まで貯めたら、まず自己破産です」と話すと「国は家庭とは違う。徴税権がある」との返事が返ってくる。しかし、いくら国に徴税権があるといっても、ここまで借金が溜まると返せるとは思えない。

先日発表された今年3月末の国の借金総額は1114兆5400億円。これは毎年10兆円ずつ返したとしても111年かかる額だ。今年の税収+税外収入予想は70兆円だから歳出を60兆円に抑えて10兆円を浮かし、それで返済しても111年かかる。

しかも111年間は金利がゼロ%のままで支払金利額が増えず、かつ社会保障費も今後増えないという前提つきでの話だ。歳出を60兆円に抑えても111年かかるのに、今年度の歳出は当初予算で102.6兆円、第1次補正後で128兆円にものぼる。