新型コロナウイルスをめぐる対応で、NY州知事のアンドリュー・クオモ氏が世界的に評価を集めている。社会学者の橋爪大三郎氏は、「事実と意見をしっかり分けて伝えるので理解しやすく、また、『この決断の責任は、私がとる』と潔い。安倍首相はそうしたスピーチの手法を採り入れるべきだ」という——。

※本稿は橋爪大三郎『パワースピーチ入門』(角川新書)の一部を再編集したものです。

全米の有名人になったクオモNY州知事

新型コロナウイルスによる混迷のさなか、アメリカで注目されたのが、ニューヨーク州知事のアンドリュー・クオモ氏だ。クオモ知事は、1957年生まれの62歳。父もNY州知事で、民主党員である。弟のクリス・クオモは、CNNでニュース番組のアンカーを務めている。2020年3月初めにNY州の感染が始まるとすぐ記者会見を開き、テレビ中継された。以後毎日のように、記者会見を続けている。