自分の利益だけを考えると長期的には損をする

クロオオアリ
イラスト=じゅえき太郎

私は本づくりを仕事にしているのですが、最近は自分がもらう制作費を抑え、その分、他の制作者の方にお金が配分されるようにしています。今年からデザイナーさんにも印税が配分されるようにしました(本にもよりますが)。

ただ、これは決して私が「いい人」だからではありません。「目先の制作費」を得るより「長期的な信頼関係」を築くほうが、結果的に自分の利益になると考えているからです(打算的な人間ですね)。

自分の利益を優先して生きるのは、生き物として自然なこと。しかし、本当に自分の利益を優先するのなら、まずは他人の利益になる行動をとり、「この人を助けたい」「この人と一緒にいたい」と思ってもらえる存在になるほうがいいのかもしれません。

結局、クロオオアリとアブラムシの関係のように、他者と強い協力関係を作ることが一番賢い生存戦略なのではないでしょうか。「ギブ アンド テイク」という使い古された言葉は、意外と生き物の真理を突いているんですね。

そう考えると、自分だけが得をすることや、相手の善意につけ込むことは、その場では利益を得ても、長く続かないし、結果的に敵対関係を作るので得策ではなさそうです。

生き物として約5億年先輩である昆虫の生存戦略は、新型コロナに振り回されギスギスしがちな私たちに生きるヒントを与えてくれます。

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