伝えたい情報をうまく相手に届けるにはどうすればいいか。作家の山口拓朗氏は「相手が何を聞きたいのか、しっかり把握することがなによりも重要だ。それがわかっていない人ほど、たくさん話せば伝わると思っている」と指摘する——。

※本稿は、山口拓朗『9割捨てて10倍伝わる』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。

事業計画、事業進捗報告書について語るビジネスパーソン
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社会人に求められる「要約力」

「以下の文章を読み、筆者の言いたいことを100文字にまとめなさい」

このような設問に答えるのは、わたしたちが学生時代にやってきた要約です。この手の要約が、情報の要点をつかむトレーニングとして有効であることはたしかでしょう。

しかし、こうした要約スキルが社会でそのまま役に立つかというと、答えは「ノー」です。なぜなら、「情報の要点をつかむ」は、社会人に求められる要約の一部にすぎないからです。

社会人に求められる要約は、伝える目的や状況に応じて、そのつど変化します。ビジネスシーンでの目的とは、多くの場合「理想の結果」を手にすることです。企画を提案する場面なら、その理想の結果は「企画を採用してもらうこと」でしょう。好き勝手に企画書を書いてプレゼンを行なっても、その企画が採用されなければ、そこに費やした時間や労力がムダになってしまいます。もちろん、会社の利益にもなりません。

大事なのは「企画を採用してもらう」という目的を達成するために、手持ちの情報をどう要約していくか——について、思考を巡らせることです。では、目標達成のための思考整理の方法を紹介していきます。