セロトニンの不足はイライラの原因にもなる

ついでに言うと、セロトニンの不足は、うつ病のリスクを高めるだけでなく、イライラの原因にもなる。

そうでなくても、「かくあるべし」思考の人はうつ病になりやすいが、セロトニンが不足していると、自分の「かくあるべし」と合わない人についイライラしてしまう。今なら、マスクをしない人、外出する人などにイライラが向かうのだろう。いわゆる自粛警察をする人には、このような生物学的メカニズムも関与していると筆者はみている。

いずれにせよ、うつ病は人間の思考パターンを変え、賢い人をバカにしてしまう側面もあるし、現実的な仕事の能力も落としてしまい、さらにいうとものすごくだるいなどのつらい症状もあるので、コロナを契機にうつ病にならない予防は大切だ。

前述のように日光に当たらない、運動をしない、肉を食べないなどはうつ病のリスクを高める。逆に言うと、こんな時期でもなるべく日光を浴びる、感染リスクの低いような形で運動をする、あえて肉を食べる、といった行動を心掛けたい。

また思考パターンも柔軟にしておくことが大事だ。いろいろな可能性が考えられるほうがうつ病になりにくいため、認知療法といううつ病の治療法(予防法にもなる)では、そのような思考パターンの変化を促している。

和田秀樹『「コロナうつ」かな? そのブルーを鬱にしないで』(WAC BUNKO)
和田秀樹『「コロナうつ」かな? そのブルーを鬱にしないで』(WAC BUNKO)

決めつけや道徳の押しつけはやめて、いろいろな可能性や他の案を考える習慣もこの機会につけておきたい。

自粛ができない人、マスクをしない人に腹が立つ気持ちもわかるが、「メンタルヘルスのためなのかもしれない」「熱射病の予防やマスクにかぶれる体質かもしれない」といった可能性が考えられるようになることは、自分の思考パターンをうつになりにくいものにしていると言える。

賢い人がバカにならないためにも、コロナ鬱の予防のためにも生活の改善を心掛けたい。

このような「コロナ鬱」の予防のために、『「コロナうつ」かな? そのブルーを鬱にしないで』という本も出したので参考にしてほしい。

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