テレワークで外に出ないでセロトニンが不足すると……

さらに、インターネットの普及でZoomやSkypeなどを使ったテレワークで会話することも可能になったが、一方で実際に会って食事したり悩みを打ち明けたりして、気持ちを発散する機会が激減している。その結果、不安がなかなか解消しないという問題が発生する。

自粛生活を続けているとそのセロトニンそのものが不足するリスクもある。セロトニンは、明るいところにいたり、日光に当たったりすることで分泌が増えることが知られている。

窓辺に座り、外をみるテディベア
写真=iStock.com/Geshas
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実際、冬場になると日照時間が激減する北欧のような国では、冬季にうつ病になる人が増え、季節性のうつ病とか冬季うつ病とも呼ばれている。そして、その治療として光療法といって、蛍光灯などの強い光を1時間程度当てる治療法が現実に用いられている。

日本の場合、欧米と比べて間接照明が少なく、蛍光灯やLEDが普及しているので部屋が明るいことが多いのが救いだが、それでも部屋に閉じこもりきりになるより、少しは散歩して、日光を浴びたほうがうつ病の予防になるだろう。

自粛要請による運動不足で、セロトニン不足→うつ症状のおそれ

また運動もセロトニンを増やすことが知られている。激しい運動でなくてもウオーキングなどのリズムのある運動がセロトニンを増やすのだが、自粛で部屋に閉じこもっているとそれも望めず、うつ状態になりやすい。

さらにいうと、家に閉じこもって運動をろくにしないと空腹感がなかなか出ないので、食べ物も粗食になりがちだ。セロトニンの材料であるトリプトファンはタンパク質から作られるし、コレステロールがセロトニンを脳に運ぶのに一役買っているとされる。

家に閉じこもって、あっさりしたものやカップ麺のようなものばかりを食べていると、うつ状態になる危険は大だ。

またうつ状態になると眠れないため、アルコールに頼る人が増えるが、逆に脳内のセロトニンが減ってしまうことも知られている。

一人飲みはうつ症状のリスクだけでなく、アルコール依存症のリスクも増やすが、「会食禁止」の影響でこうした危険も増している。