出版不況に長らく苦しんできた出版業界。しかし、出版大手が次々に復活の狼煙を上げている。
たとえば集英社は、2019年5月期の売上高は1333億4100万円で、前年比14.5%増。当期純利益は98億7700万円で、前年の4倍弱。100億円の大台が目前だ。集英社以外の大手出版社である講談社、小学館も、最新の決算は同様に増収増益だ。その要因で共通しているのが、デジタル収入の増加だ。
そんな中、いま大注目されているのが、集英社の漫画アプリ「少年ジャンプ+」だ。ダウンロード数は累計1500万を突破。出版社系漫画アプリでアクティブユーザー数はNo.1だ。いかにして人気アプリを育てたのか。細野修平編集長に、デジタルで読者の心を摑む秘訣を聞いた。
No.1につながった、8年前からの努力
オリジナル連載作品「SPY×FAMILY」(遠藤達哉・著)の人気の高まりなどの影響で、19年後半から「少年ジャンプ+」のユーザー数は一気に増加しました。この春は在宅需要に対応するため、「週刊少年ジャンプ」や、「ONE PIECE」などの人気作品を無料公開する施策を打ったこと、週刊少年ジャンプの大人気漫画「鬼滅の刃」の連載終了時期と重なったことも増加の理由だと思います。とはいえ、今まで積み重ねてきたものがあってこそだということに注目してもらいたいです。