角川春樹

1942年生まれ。國學院大學文学部卒業。父親が創業した角川書店に入社後、書籍と映画のメディアミックス路線を敷き、「犬神家の一族」「人間の証明」などで一世を風靡する。93年麻薬取締法違反などで逮捕、獄中生活を経験。出所後は、角川春樹事務所を舞台に、雑誌「ポップティーン」「ブレンダ」や「ハルキ文庫」を刊行。句集『信長の首』で芸術選奨文部大臣新人賞・俳人協会新人賞、『流され王』で読売文学賞を受賞。今年11月には、自ら監督した「笑う警官」が公開される。「最初から若者は捨てて、大人が笑える映画を目指した」という。


 

2年5カ月3日の獄中生活を終えて、真っ先に向かった飯屋が、「大漁」だった。もう5年も前になるが、長い付き合いのご主人と奥さんが、涙ながらに迎えてくれたのを、今でも覚えている。そのとき食べた鯛めしは、旨かった。「大漁」は普段、色飯は出さないのだが、俺の好物とわかっていて、振る舞ってくれたのだ。