愛情をたっぷり得られる環境が最重要な治療になる
著書『毒親 毒親育ちのあなたと毒親になりたくないあなたへ』では、愛情遮断症候群の研究を詳しく紹介しましたが、それには続きがあります。愛情遮断症候群になってしまった子は、原因となった家庭や養育環境から引き離して隔離し、別の養育者を充ててしばらくすると、症状が軽快していくのです。
ストレスの少ない、愛情がたっぷり得られる環境にいることができれば、心身ともに発達の遅れが改善され、すこやかに育つことができるということです。つまり、傷を負ってしまった子どもに対しては、適切な愛情と養育環境を与えることが最も重要な「治療」になるのです。
毒親育ちの子どもたちは、親の期待に沿わない自分を数えきれないほどの回数、繰り返し否定して育ってきています。当然、自尊感情は低く、自分で自分のことを素晴らしいだなどとは到底、思える状態にはないでしょう。
そのために対人関係もなかなか思うようにはいかず、自分のことを認めることもできず、日々、なぜこんな生きづらい生を生きなければならないのかと暗澹たる気持ちになることも少なくはなかったでしょう。
しかし、こうした重荷を抱えながらここまで生き抜いてきたことこそ讃えられるべきことです。信じられないような重さを抱えて、ここまで生き延びてきたことこそ、賞賛にふさわしい事績であると、認めてあげてほしいと思います。
一生懸命生き抜いてきた事実があるのだから、親からダメという烙印を押されたことがあったにせよ、自分をもっと自分で愛してあげてもいいのだと、どうか捉えなおしてあげてほしいと思います。
過去を変えることはできなくても、その解釈と、自分自身の未来は変えられます。『毒親 毒親育ちのあなたと毒親になりたくないあなたへ』が、みなさんが自身への愛情を深め、自分自身の人生を進むための一助になればと願っています。