香港への措置は中国にも打撃を与える

トランプ大統領は5月29日、中国と香港に対する米国の措置を発表しました。米国が香港に認めてきた優遇措置を撤廃するもので、具体的には犯罪者の引き渡し条約、軍事・民生ともに利用できる品目の輸出管理に関する例外措置の取り消しなど複数に及びます。今後、この優遇措置撤廃に伴って、香港ドルと米ドルのドルペッグが解消されてしまうと、香港は文字どおり「終わる」ことになりかねません。その影響度は香港に留まらず、中国本土にも大打撃になるのは確実視されています。香港はもとより、中国の金融の生殺与奪は、ドルペッグ制度によって米国が握っているのです。

現在、香港ドルはドルペッグされ、為替は米ドルに連動する形をとっています。基軸通貨である米ドルとのドルペッグがあることにより、不安定に陥りやすい通貨を安定化させる効力があります。香港ドルは米ドルと似たような値動きとなり、米国の経済情勢の影響を受けることが多かったのです。このドルペッグが廃止されてしまうと、香港ドルの信用が失われてしまい、香港ドルの暴落は免れません。また、それによって中国人民元も価値が損なわれる可能性を否定できないのです。

新型コロナが中国一党独裁を終わらせる

この香港ドルペッグの廃止による経済的損失は、マネー価値の毀損にとどまりません。香港内でも外貨を稼げる一部の金融マンは大きな影響を受けないかもしれませんが、そうでない大多数の香港人との間に格差が拡大することが考えられます。

香港はアジアの金融センターであり、中国本土にとっての重要なコアです。中国は香港を経由した輸出を行っています。ドルペッグが廃止されることで香港の輸出ハブとしての魅力がなくなってしまい、中国本土の国力衰退にもつながるでしょう。今後、香港の命運がどうなるかは、米国が握っているのです。

中国は新型コロナで曲がり角にいます。ここまで一党独裁で進んできた同国の心臓は、米国に掴まれました。国力衰退から国内人民からの求心力を失うことで、その先にあるのはもっとも恐れている内乱の足音です。新型コロナは世界の誰もできなかった中国共産党の支配の手を、止めようとしているのかもしれません。

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