掲載した画像は、「カトウ光研」が開発した、人間の目には見えない流体現象を可視化する技術で撮影されたものだ。
人工的に「くしゃみ」を再現して、マスクの種類別の効果を比較すると、ウレタンマスクの場合、大量の飛沫が前方に飛び出していることが分かる。
全世帯に2枚配ると安倍首相が宣言しながら、大量の不良品が見つかり、配布が遅れている「アベノマスク」。その大半が、昔懐かしい「ガーゼ製」だ。可視化画像で見ると、ウレタンマスクより飛沫の漏れは少ないが、ブロックしているとは言い難い量が確認できる。
医療現場でも使用されている、使い捨てのサージカルマスク。「不織布(ふしょくふ)」と呼ばれる、ポリプロピレンなどのプラスチック系素材で、幾層にも重なったフィルターになっている。そのため、マスク前方に飛沫はほとんど出ていない。ただし、マスク上下左右の隙間からは、呼気の漏れが出ていた。
マスクは2つの条件がそろわないと、本来の機能を果たせず
『マスクの品格』(幻冬舎)の著者である、聖路加国際大学・大西一成准教授。マスクに関する知識に誤解が多いことから、啓発活動をしている。
「マスクは2つの条件がそろわないと、本来の機能を果たすことができません。それは『ウイルスを通さないフィルターの性能』と『顔のフィット』です」
パッケージに「細菌・ウイルス99%カット」と表示されているマスクがあるが、これはフィルターの性能に限定したものだ。実際に装着した状態の効果は、マスクの外側と内側の粒子数を測定した「漏れ率」として評価する。
大西准教授によると、一般の人がどんなにフィルターの性能が高いマスクを付けても「漏れ率:100%」になることが多い。原因は顔にフィットさせていないからだ。