薬のリスクは「危険度×頻度」で理解
薬の副作用や死亡例を見聞きするとき、『ファクトフルネス』における「恐怖本能(※1)」や「過大視本能(※2)」が起こりうる。特にそれが知っている薬名だったり、身近な人が服用していたりすると、正確なリスク(『ファクトフルネス』で示される「危険度×頻度」)よりも、まずは恐怖が襲ってくる(恐怖本能)。
※1 危険でないことを、恐ろしいと考えてしまう思い込み。※2「目の前の数字がいちばん重要だ」という思い込み。
誰にとっても「命」は重いものだから、たった1人の死亡例であっても、ほかの薬の副作用や死亡例と比較することがはばかられる。尊い1人の命が奪われてしまった、と(過大視本能)。さらには報道側も恐怖を煽り、私たちはしばしば「薬の副作用や死亡例」を冷静に数字で判断、比較ができなくなる。もちろん命は尊い。しかし、その思いと「薬の評価」を切り分けて考える必要がある。
かつて国内で約100万人が服用していたと推定される漢方薬「小柴胡湯」の副作用と死亡について取り上げよう。
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