なんと緑茶としての評価が低い三番茶、つまり番茶が健康成分のカテキンが多く含まれるのだった。

緑茶を摂取する量が多くなるほどリスクが低下

国立がん研究センターでは、緑茶を日常的に飲む人は飲まない人に比べて、全死亡リスクが低下するという研究結果を発表した。長年緑茶の効能を研究してきた静岡県立大学薬学部の山田浩教授によると「特に男性では呼吸器疾患、女性では心疾患において、緑茶を摂取する量が多くなるほどリスクが低下している」という。

緑茶摂取で死亡リスクが下がる

それでは、たくさん飲んでも体に害はないのだろうか。

緑茶の成分の中で多量摂取の悪影響が心配されるのは、カフェイン。覚醒作用のあるカフェインは睡眠を妨げる可能性があるという。

「カフェインの作用は8~14時間持続するといわれ、睡眠中の中途覚醒を増やすリスクがある」(望月氏)

しかしカフェインは“悪者”ではない。眠気を防いで脳の働きを活発にし、二日酔いのときは頭をスッキリさせるといわれる。ダイエットするならカフェインを取ってから運動すると、効率よく脂肪が燃焼するだろう。

大森氏は「つまりは過剰摂取にならなければOK。目安として一日におよそ10杯、1時間以内に4~5杯の茶を飲んだ場合、体調が悪くなることがあるかもしれません」とアドバイスする。

むやみにカフェインを避けるより、夕方以降はカフェイン量を増やさない水かぬるま湯で緑茶を入れるなど、賢く活用しよう。

“栄養素の宝庫”といわれる緑茶には、カテキン、カフェイン、テアニン以外にもビタミンCやE、食物繊維などさまざまな健康成分が含まれる。

ちなみにメラニン色素の生成を抑え、シミを作りにくくするビタミンCは、煎茶に最も多く含まれる。ビタミンCは熱で壊れやすいが、緑茶の場合はカテキンによってビタミンCが守られ、熱湯で入れても破壊されないのだ。

「ただしβカロテン、ビタミンE、コエンザイムQ10、ミネラル類、不溶性(水に溶けない)食物繊維などはどんなに熱湯を注いでも溶け出しません。栄養素を余すことなく摂取するには茶葉ごと食べるのがいい」(同)

粉末状になっている緑茶も市販されているし、緑茶を入れたあとの茶殻に味付けをして酒のつまみなどとしていただいても◎。

いずれにしても湯のみ一杯でさまざまな健康効果を得られる緑茶は、高額なサプリメントや健康食品よりお得といえるかもしれない。

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