都道府県別の感染者数と感染率(人口10万人当たり感染者)ランキング

次に、国際比較から国内の地域差に目を転じよう。

まず、都道府県別の感染状況のランキングを感染者数自体と人口10万人当たりの人数とで16位まで掲げたグラフを図表3に掲げた(いずれも5月4日確定分までの累計、以下同)。

濃密感染地域は、「東京など大都市圏」と「北海道・北陸など特定地域」

感染者数そのものについては、1位の東京が4708人と2位の大阪の1674人の2倍以上となっている。東京、大阪といった大都市圏の中心地域で特別に感染率が高くなっている。

3位以下、10位までの上位地域としては、北海道を除くと東西の大都市圏の近郊地域や愛知、福岡といった中枢都市が占めており、概して都市部の感染がウエートとして大きいといえる。

ところが、人口当たりの感染者数(感染率)の都道府県ランキングは実数規模のランキングとはかなり様相を異にしている。1位は34.3の東京であるが、2位の石川も23.5人、3位の富山も19.7人で高い値を示している。今は6位の福井は一時期1位だったこともある。

首都圏近郊の神奈川、埼玉は、実数規模では3~4位と大きいが、感染率のランキングについてはずっと低くなる。神奈川は11位であるし、埼玉は13位である。感染率は両県の場合、全国平均と同水準である。

そして、飲み会、ライブ、高齢者施設、医療機関などを通じた特定の感染集団によるクラスター感染が偶発的に発生し、それが連鎖的にある程度の広がりをもった特定感染地域ともいうべき都道府県がむしろ上位を占めているのである。

しかし、石川、福井、富山といった北陸3県が人口当たりでそろって上位なのはなぜだろうか。偶発的にしては地域的なまとまりがあるのが気になるところである。

東京は他地域と比べ、感染拡大の規模とテンポが群を抜いている

こうした状況を踏まえ、国際比較と同様に対数グラフで主要な都道府県の感染者数の推移パターンを比較してみよう(図表4参照)。

東京・大阪の感染拡大パターンがやはり特別な動き

前出の各国の動きを表した対数グラフと同じように、主要都道府県別に感染拡大経過日数別の対数グラフを描いてみると感染拡大傾向の地域別の違いが明らかになる。

東京は他地域と比べ、感染拡大の規模とテンポが群を抜いていることがわかる。

埼玉、神奈川などの東京圏の近郊県も100人超過後15日ぐらいは、東京とほぼ同様の軌跡を描いていたが、それ以降は、やや横ばい方向に転じており、大きな都心部を抱える東京とはその点が異なっている。

実は福岡はこうした東京近郊県と同様のパターンをたどっている。

これら地域に対して、大阪、兵庫、京都といった大阪圏の府県は拡大のテンポが一段低くなっていることがわかる。名古屋圏の愛知、あるいは北海道は拡大ペースではさらにゆるやかである。

ただし、北海道については、ゆるやかだったと過去形で言わなければならない。最近の北海道は再度拡大テンポが上がっており、第二波に襲われているという印象が強い。