政府は都心部特有の感染拡大要因をどう抑えたらよいかわからない

図表4をよく見ると、東京と大阪では感染拡大のレベルでは違いがあるが、最初はやや遅くはじまり、一気に加速し、最近やや拡大テンポが落ちているという感染拡大のカーブでは、お互いに似通っている点に気づく。

東京・大阪以外では、クラスター連鎖の勃発による急拡大と、その後、それを強力に抑えて収束へと向かう、という動きが認められるが、大きな都心部を抱える東京や大阪では、都心部特有の感染拡大要因が作用して、どう抑えたらよいかわからないような感染拡大の軌跡を描いているのではないかと思われる。

この都心部特有の感染拡大要因については、

① 接待を伴うような飲食店が多い大きな繁華街からの波及
② 海外赴任や海外旅行からの帰国者が多く海外からのウイルスの持ち込みが多い
③ 都心に居住することが必要な職業人が抱えるその他の感染拡大要因

といったものが可能性として考えられるが、いまだ定かではない。

「繁華街&富裕層」中央区、港区、世田谷区、渋谷区に感染者多いワケ

最後に最も感染拡大が突出している東京について、都内の地区別のこれまでと同様な対数グラフを描いてみた(図表5参照)。

都内でも感染拡大が大きく進んでいるのは、銀座、新宿、赤坂、六本木といったわが国の代表的な繁華街を有する「都心地区」(中央区、港区、新宿など)、および富裕層も多い住宅地域である「西部地区」(世田谷区・渋谷区など)であり、この2地区が感染者数規模においても、また感染拡大のテンポにおいても他地区を圧倒している。

他方、感染拡大のテンポが緩やかなのは、「下町地区」と「東部地区」であり、累積感染者数100人以上の本格的感染拡大がはじまる時期も遅かったし、その後の拡大規模も比較的小さい。

こうした「都心・山の手方面」と「下町方面」との間の地域的な傾向差からも、偶発的なクラスター感染の連鎖とは異なる上述のような都心部特有の構造的な感染拡大の要因が作用しているはずだと感じられる。

ともあれ、都道府県別に見ても都内の地区別に見ても、エリアによって感染者数の偏りはあるものの、全体として数の「横ばい化」は認められず、日本国内において予断を許さないことは確かだ。

都内でも「都心地区」と「西部地区」が感染拡大のメインエリア
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