仲間は何ものにも代えがたい人生の財産

ディスラプションには修羅場がつきものです。私は何社かで勤め、それぞれに業績の浮き沈みがあり、難しい時期も経験しました。一番長く勤めたのはアップルで、そして日本マクドナルドになりますが、特にこの2社での経験は厳しいものがありました。アップルの場合は1997年に倒産寸前となり、日本マクドナルドは2015年に創業以来最大の赤字を計上しました。できるならば試練は避けたいものですが、一方で困難な状況に置かれることで得られる、素晴らしい感謝すべきこともあります。

それは、自分が心から信頼でき、生涯の友となる人を見つけられる点です。自分が修羅場を共に過ごして発見した素晴らしい人たちは、次のような特性を持っています。

・仲間の弱いところを補って助けてくれる。
・見返りを求めずに、人のために尽くす。
・不退転の覚悟で、難局の打開に取り組む。

危機に遭遇したときに、その人の本当の姿を見ることができます。追い詰められたときに、どう反応し、考え、行動するのか。地位や経験に関係なく、その人が何に価値を置くのかをはっきりと見ることができます。試練に直面すると皆が不安になり、恐れを抱きます。

馬が合わない人でも信頼する仲間になれる

自分自身も危機の只中にいるとき、「仲間」をどうサポートすべきかに目を向けて、まずは自分よりもほかを優先して考えてくれる人がいます。一緒に、恐れ、苦しみ、もがきながらも、力を合わせて難局を乗り切ったときに分かち合う喜びと達成感は格別ですが、そういう状況で見いだした信頼できる「仲間」は、何ものにも代えがたい人生の財産となります。

一方で保身に走る人や、自分の益となることをすべてに優先する人もはっきりと見えます。人間ですから自分を守る気持ちがあって当然です。事実、私自身、何を優先すべきか判断する際に、やはり自分を守ることを考えています。当然、理屈に合うのは自分を優先させるという選択です。しかし後になって振り返ると、理屈に合わないほうを選択したことが自分の成長と喜びに結びついたとわかるものが多いように思います。

そしてもう1つ大事なことがあります。信頼する仲間は、必ずしも自分と馬が合う人とは限りません。感情的に対立する人でも、実際に喧嘩をした人でも、かけがえのない友人とすることができます。一緒にいると心穏やかでない人がいて、意見が合わず激論を戦わすことがあるかもしれません。でも、その人の思いを掘り下げると真剣に取り組んでいることが見え、共有できるものが必ず見えてきます。見えたものが「保身」や「メンツ」でなければ、その人もかけがえのない友人となる可能性がある人です。

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