自然にできた「チーム北島」
北島が高校生のときだ。カメラメーカーに勤める日本水泳連盟の人間が水中カメラで選手の映像を撮影することがあった。ある日、平井はその男から「北島は礼儀正しくていい、大したもんだ、いい教育しているね」と褒められた。
「康介はありがとうございます、非常に役に立っていますとか、言っていたんでしょう。康介からそう言われれば、また撮影してあげようという気になりますよね。康介が褒められるということは、他の選手がそんな当たり前のことをしていないということ。トレーナーたちも康介に関しては、何でもやってあげたいという風だった。ありがとうございますという感謝の言葉を伝えることで、周りを動かすことができるのも、水泳選手にとって必要なことなんです」
だからこそオリンピック前、彼の周りに「チーム北島」が自然にできるようになった。
「みんなが彼に活躍してほしいと思っていた。だから長く第一線でやることができたんです」
個人競技も究めれば、人を巻きこむという集団競技的なSIDが必要となるというのが平井の考えだ。