不透明感高まる世界経済の先行き

市場参加者の中には、3月中旬から下旬にかけての日米などの株価反発は“浮かれすぎ”と指摘する者がいる。米国が2兆ドル(約220兆円)の経済対策を発動し、主要国を中心に世界の中央銀行が市場に流動性を供給したことがリスクテイクを支えた可能性はある。

同時に、多くの人が自由に外出できない状況の中で現金給付などの対策を打ったとしても、消費が増えるとは言いづらい。さらに、各国は国境を封鎖するなどして自国中心の経済運営を目指さざるを得ない。新型コロナウイルスの発生以前に比べ、効率的に経済を運営することは難しくなっている。そう考えると、雇用、企業経営などが一段と不安定化するリスクは軽視できない。

世界経済を取り巻く不確定要素は増大している。長い目で考えると、徐々に資産の価値は経済の基礎的な条件=ファンダメンタルズなどに収斂すると考えられる。ただ、2月下旬以降、世界の金融市場では先行きが読めないという恐怖心が急速に高まり、過去に例を見ないほどの勢いで現金化が進んだ。そのため、資産価格の変化を理屈で説明することは難しくなっている。

今後の資産運用を考える上で、過去のパンデミックの発生事例、その際の経済の変化などを把握するなどして変化への対応力を高める必要性は増している。

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