大人になってから、再び日本史を学び直すことがビジネスパーソンの間でブームになっている。私たちが今、歴史を振り返る意義とは? 知の巨人・佐藤優が大いに語る。

ビジネスパーソンが日本史を学ぶ意義とは

ビジネスパーソンの間で、日本史を学び直すことがブームになっていますが、それは必要に駆られたという自然の流れによるものです。

作家・元外務省主任分析官 佐藤優氏
作家・元外務省主任分析官 佐藤優氏

グローバルな現場で働く人が増えてきた今の時代、日本史の知識が必要不可欠になってくる。その理由は、相手から軽く見られないためです。海外から日本へやってくるビジネスパーソンは、日本の歴史や文化をある程度身につけています。自国の歴史を学ぶことは、自分自身を守り、信頼を得るためのツールになるのです。

逆の立場を考えてください。カウンターパートになったアメリカのビジネスパーソンが、南北戦争やリンカーンを知らない。キューバ危機やベトナム戦争について知らない人だったら、どうでしょう。「これほど基礎教養に欠ける人と仕事をして、大丈夫だろうか」と不安に駆られるはずです。

また、ビジネスパーソンにとって歴史は、単に学ぶだけでなく、現代を読み解くカギになる。現代は、それまでの価値観が壊れていく、時代の転換期です。その点、南北朝から応仁の乱あたりまでは、現代に類似している時代と言えるでしょう。