主役は選手であり、答えを出すのも選手である

「叱咤しながら厳しい練習を課すタイプ、褒めてやる気を引き出すタイプなどアプローチの仕方はさまざまですが、主役は選手であり、答えを出すのも選手であることをわかっていて、そのための言葉を持っているという点で一致しています」

コーチングの方法論はスポーツの世界に限らず、ビジネスや家庭でも活用できるという。

「上司と部下、あるいは親子、この関係は指導者と選手になぞらえることができます。部下に対して一方的に言葉を発する上司は少なくありません。ビジネスでは仕方のない面もありますが、こればかりでは部下の仕事に対するモチベーションは上がらない。時には部下の声を聞く姿勢を見せるべきです。そして仕事に対する意欲、コーチングでいう答えを自ら引き出すようにする。モチベーションの高低が結果に結びつくのはスポーツと同じなんです」

たとえば古賀氏の指導法。部下や子どもに“どうした?”と声をかけることはすぐにでもできる。試してみてはいかがだろうか。

古賀稔彦
1967年、佐賀県出身。柔道家。古賀塾塾長。バルセロナ五輪柔道男子71kg級金メダリスト。アトランタ五輪銀メダル。得意技は切れ味鋭い豪快な一本背負い投げで「平成の三四郎」の異名をとった。
 

森本貴義
1973年、京都府生まれ。シアトル・マリナーズアシスタントアスレティックトレーナー。『一流の思考法』『“出世”したければ週2回筋トレすればいい』『新しい呼吸の教科書』ほか著書多数。
 
(構成・撮影=遠藤 成 写真=AFLO、時事通信フォト 協力=㈱日本スポーツエージェント)
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