保護者が楽しそうに運動すると、子どもも動き出す

嫌いなことをしろ、といわれるのは、おとなだって辛いことです。運動が嫌いだと思う子に運動をさせることは、そうたやすくはないでしょう。

田崎篤『子どもの健全な成長のためのスポーツのすすめ スポーツをする子どもの父母に伝えたいこと』(岩崎書店)
田崎篤『子どもの健全な成長のためのスポーツのすすめ スポーツをする子どもの父母に伝えたいこと』(岩崎書店)

ですが、それでも何か運動をさせたいと思うのであれば、ひとつの方法として、まずは保護者が楽しそうに定期的に運動をすることを提案します。

保護者が読書をしている家庭では、子どもも自然に読書をするようになるようです。運動も同じく、結局は保護者にその習慣がないと、子どもに習慣づくのは難しいのです。おとながスマホを見ながら「子どもは運動して読書して勉強しろ」といったところで、子どもがやるとは思えませんよね(笑)。

保護者が運動や睡眠、食事を大事にしていれば、それは子どもに必ず影響します。ですから、子どもに運動をさせたかったら、まずは保護者が習慣的に運動することが一番の導入方法なのです。

思ったよりも運動量が多い有酸素運動としては、ダンスやハイキングなどがあります。学年が上がれば、野外スポーツの一種であるオリエンテーリングなどもよい運動になりますね。

たった「1勝」で運動好きになった息子

運動があまり好きではなかった子でも、学校で行う体力テストの種目の中で比較的よい種目を見つけ、しっかりそこをほめて評価してあげると、その後運動に対して積極的になれるといわれています。何もクラスで一番でなくてもよいのです。その子の結果の中でも、他の種目と比較して好成績であったものを、見過ごさずにほめてあげてください。その子の気持ちを乗せてあげると、運動に興味を持つきっかけになるかもしれません。

成長するのが子どもです。興味と意欲がわけば、見違える変化があるかもしれません。私の息子も、小学生のときは地域の相撲大会で毎年連戦連敗。でも6年生のときに初めて1勝できました。それを機に運動に対して積極的になり、リレーの選手、運動会の応援団長、そして中学高校ではラグビー部に入ってくれました。たった1回の勝利が、彼を変えてくれたように思います。

とにかく、生涯の健康のためには、やはり運動は嫌いではない方が望ましいはず。お子さんがなんとか運動に興味を持てるよう、無理なくできること、保護者の方ができること、やってみたかったことから一緒に楽しんでみてください。

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