距離を縮める技術の極めつきは、「相手の視点で話す」。自分がどうするか、どうなるか、どうしたかではなくて、あなたがどうするか、どうしたいか、どうなるかを語ります。例えば保険契約のトークなら、普通は「ご加入いただきますと、万が一の場合に所定の金額をお支払いします。だから保険に入ってください」ですが、ここの「お支払いします」を「受け取れるんです」に入れ替えるんです。「支払う」のは保険会社で、「受け取れる」のはお客様。自分の視点ではなく、お客様視点の動詞に変えることで、相手を能動的な気持ちにさせるわけです。

アナウンサーの話す速度は昔の1.2倍

最後に、資料を見せるときの技術「ブリッジ」を。資料が複数ある場合、資料と資料の間に橋を渡すことです。例えば、「こちら側が交通事故の統計です。事故の統計をすると、こんな事故とこんな事故があります。こちら側が交通事故原因の分析です。事故原因の上位には、こんな事例があります」と資料ごとにバラバラなトークにブリッジが入ると、「こちら側が交通事故原因の統計です。統計によりますと、こんな事故とこんな事故があるのがわかります。では、これらの事故がどういう原因によるものなのか、それを分析したのがこちらのスライドです」。次の資料を開く前に、その話を振って次が見たくなる、聞きたくなるように仕向けるんです。いわば紙芝居ですね。

会話の相手も様々です。気難しいタイプには、前述の巻き込む技術と、相手の物言いを「肯定し続けること」が大事。「そうは言っても、お宅の製品は高いでしょう」と言われたら、「そうなんですよ。若干高くさせていただいていて。でも、中には安いって言う人もいるんです。人それぞれですので、そういう視点もわかります」。絶対にこちらの主張を押し通そうとせず、肯定に肯定を重ねて「あなたの意見に寄り添います」という姿勢を貫きます。

会話のスピードは、最初はお互いのテンポに慣れるのに時間がかかるので、ゆっくり話し始めてください。スタートから2分、3分ほどゆっくり話して、徐々に話のスピードを上げ、後半は自分の話しやすいペースで大丈夫です。相手が時計をチラチラ見るようなら、話を早めに切り上げるなどの融通を利かせてください。

最近は、世間でしゃべるスピードが速くなっている気がします。テレビのアナウンサーの話す速度も昔の約1.2倍に上がっていると聞きます。限られた時間内に、どれだけ多くの情報を発信できるかが求められているのでしょう。ここに挙げた技術を柔軟に組み合わせ、時間を有効に使う一助としてください。

(構成=篠原克周 撮影=永井 浩)
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