「ポスト安倍」の本命という声も上がっていたのに…

半年前に「令和おじさん」として大注目を集め、つい先日までは、「ポスト安倍」の本命という声も上がっていた。ところが今、菅義偉官房長官の株が大暴落している。

「桜を見る会」の問題で連日記者団の追及を受けて立ち往生。明らかに自信のなさそうな回答を繰り返している。第2次安倍政権が誕生以来、7年間、鉄壁のスポークスマンを演じ続けてきた菅氏はどうしてしまったのか。

写真=時事通信フォト
参議院予算委員会で菅義偉官房長官(左)と話す安倍晋三首相=2019年10月15日、国会内

菅氏は原則として1日に2回、午前と午後に首相官邸で記者会見を行う。月曜日から金曜日まで週5日だから、単純計算で1年に600回、この7年間で4000回以上会見をこなしてきたことになる。

サービス精神が旺盛というわけではないが、手堅い受け答えは定評がある。官房長官は政府全体のスポークスマン。質問は国政全般、国際情勢、そして社会問題からゴシップに至るまで質問を受けるが、よどみなく答える。

秘書官が「差し紙」をした回数は11回で史上最多

それが、最近、明らかに変わった。例えば12月4日午前の記者会見。「桜を見る会」の招待者名簿のバックアップデータを巡るやりとりで、何度も回答に詰まっている。

「ちょっとお待ちください」と自信なげに語っている間に、秘書官が回答案を紙に走り書きし、菅氏の元に走る。紙を左手で受け取った菅氏は、目を紙に落としてそれを読みあげる。秘書官が紙を差し出した回数は11回に及んだ。

これまでも、想定外の質問があった時に秘書官が差し紙することが皆無だったわけではないが、11回は「史上最多」だ。しかも、発言は「~というふうに聞いています」というような語尾が多く、頼りなさそうなのだ。