配偶者が不倫をしているようだ。そう考えてSNSに不正アクセスして手に入れた「不倫の証拠」は、裁判で認められるのか。弁護士の理崎智英氏は、「刑事では違法な手段で得た証拠は裁判で認められないが、民事である不倫の裁判では認められる可能性が高い」という——。
親密なメッセージは不貞行為の証拠になることも
最近夫の様子がおかしい。もしかしたら浮気しているのではないか。そう思って夫のスマホを確認したいという方もいるでしょう。実際に夫のスマホを確認して、女性との親密なメッセージを発見した、という方もいるかもしれません。知らない女性との親密なメッセージは、内容次第では不貞行為の重要な証拠となり得ます。
そこで、今回は、妻が夫のスマホを勝手にみることは許されるのかどうか。さらに、LINEなどのメッセージアプリをハッキングして、その内容を確認することは許されるのか。そのようにして得られた情報は、離婚や慰謝料請求の証拠として有効なのか、といった点について解説していきたいと思います。
まず、本来、アクセス権限のない人が、他人のIDとパスワードを利用して、サーバーやSNSなどのネットワークに侵入することは「不正アクセス行為」として法律上禁止されています(不正アクセス禁止法3条)。この法律は、不正アクセス行為を禁止するとともに、電子通信回路(インターネット等)を通じて行われる電子計算機(パソコン、スマホ等)に係る犯罪の防止及びアクセス制御機能により実現される電子通信に関する秩序の維持を図り、もって高度情報通信社会の健全な発展に寄与することを目的に制定されました(不正アクセス禁止法1条)。