他人のSNSにログインするのは犯罪行為だ

具体的には、下記のような行為が「不正アクセス行為」として法律上禁止されています。

(1)アクセス制御機能を有する特定電子計算機(パソコン、スマホ等)に電気通信回線(インターネット等)を通じてアクセスし、他人の識別符号(ID、パスワード等)を入力し、アクセス制御機能を作動させて、本来制限されている機能を利用可能な状態にする行為

(2)アクセス制御機能を有する電子計算機に電気通信回線を通じてアクセスし、識別符号以外の情報や指令を入力し、アクセス制御機能を作動させて、本来制限されている機能を利用可能な状態にする行為

(3)アクセス制御機能を有する他の電子計算機により制限されている電子計算機に電気通信回線を通じてアクセスし、識別符号以外の情報や指令を入力してアクセス制御機能を作動させて、本来制限されている機能を利用可能な状態にする行為

そして、「何人も」不正アクセスをすることは禁止されていますので、たとえ妻であっても夫のIDとパスワードを利用して、夫のSNSなどにログインすることはできないということになります。また、遠隔操作アプリや遠隔操作ウイルスなどを夫のスマホに勝手にインストール等して夫のSNSをハッキングし、SNSの内容を確認することも「不正アクセス行為」として、同様に禁止されています。

スマホのロック解除なら法的にセーフ

不正アクセス行為をした人には、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されることになります(不正アクセス禁止法11条)。

妻が夫のSNSに不正アクセスした事案ではありませんが、過去には、退職した会社で使用していたIDとパスワードを利用して不動産情報のデータベースに不正にアクセスしたとして逮捕された事例、他人のIDとパスワードを利用してセブンペイに不正にアクセスし、加熱式タバコを購入したとして逮捕された事例、携帯電話会社のショップ店員向けの福利厚生サイトに不正にログインし、ギフト券を不正に取得したとして逮捕された事例などがあります。

なお、勝手にパスワードを入力して夫のスマホのロックを解除する行為自体は、ネットワークに侵入するわけではないので、「不正アクセス行為」ではありません。また、その都度IDやパスワードを入力しなくても起動することができるLINEやフェイスブックなどのアプリの中身を確認する行為も、同様に「不正アクセス行為」ではありません。

そのため、妻が夫のスマホのロックを解除して、カレンダーの予定やメールの内容を確認することは法に触れないということになります。また、SNSアプリはたいていの場合、その都度パスワードを入力しなくても起動できると思いますので、その中身を見ることも違法にはなりません。