挑戦していなければ、今の自分たちはいない

中学受験を終えたときに、ぜひ取り組んでもらいたいことがあります。合否にかかわらず、これまで受験勉強に取り組んできたお子さんと、そのサポートをしてきた親御さん自身を一度振り返ることです。

塾が始まったばかりのころは、家庭学習のペースがつかめず、親子で試行錯誤の日々だったのではないでしょうか。仕事との両立が大変で、悩んだときもあったかもしれませんね。

受験勉強が進むにつれ、テストを受けるたびに上がったり下がったりする成績に、心穏やかでいられないときもあったかもしれません。親子のバトルもあったでしょう。思うように成績が伸びていかず、途中で志望校を変えたご家庭もあったかもしれません。

本当に大変だった日々を思い出して、「もう二度とごめん」「同じことをもう一回やれと言われても、できる自信がない」「われながらよくやれたと思います」と、みなさんおっしゃいます。

そして思うのです。

もし、中学受験に挑戦していなければ、今ほどの知識を得ることができただろうか? 毎日鉛筆を握り、問題に向かうということが当たり前になっていただろうか? 2時間、3時間集中して勉強ができる学習体力が身についていただろうか?

親も子も、経験を積み重ねてきた

中学受験の勉強を通じて、お子さんは、知らないことは習ったり調べたりするとわかるようになること、覚えることと覚えた知識を使うことは頭の使い方が違うということ、パッと見ただけではわからない問題も、「とにかく考えてみよう」と取り組めるようになったことなど、勉強に対する取り組み方についてもたくさんの学びを得ています。

頑張れば伸びていくこと、頑張っても叶わないことがあることも経験したと思います。今、ここにざっと挙げただけでも、中学受験に挑戦した子どもたちは、これだけの力をつけ、これだけの経験をしています。

また、親御さん自身も中学受験のサポートをする中で、「わが子の力を伸ばすには、どうしたらいいのだろう?」と考え続けた3年間を過ごしてきています。

わが子の“ノリノリ状態”はどんなときだろう? 今、何ができて、何に困っているのだろう? 日々の子どもの様子を見ていく中で、親としての観察力は格段に上がっています。

一方で、親にもできないことがあることを実感し、いろいろな人の力を借りることの大切さも学んだはずです。