――第2次朝鮮戦争などアジアが有事に陥れば、日本を含めた東アジアの諸国には重大な影響を及ぼす。これを回避するためには国際社会が知恵を出す必要がある。とりわけ日本の役割は重要になる。

第1次朝鮮戦争は、日本に対してはもちろんですが、アメリカや中国にも大きな影響を及ぼしました。従って、現在の対立が戦争に向かってしまうかもしれません。このような状況には今、対応するべきです。これはアメリカと中国だけの問題ではありません。アメリカと北朝鮮、アメリカと中国の問題でもありません。やはり日本も関係し、役割を果たすことができる問題だと思います。

日本はもっと大胆に「TPP」を活用するべきだ

日本の役割について。日本は控えめで、傍観者のような役割を果たす傾向があったかと思います。私は初めて日本に来たときから、日本はもっと大胆になって、積極的な役割を果たした方がいいと思っています。

英知や知恵は、ワシントンや北京、パリでの独占事項ではないのです。我々が直面している問題は全員の問題であり、日本ももちろんその結果から影響を受けるので、その問題に対応できなければ、日本もその被害を受けます。

日本は何をすべきかということについてアイデアを提供できるでしょう。日本の役割としては、自分に何ができるか、そしてどのような違いを生み出せるかを考えてみることを提案します。

――日本が今後果たすべき役割は何か。具体例としてアリソン氏は米国抜きのTPPを挙げた。

その事例として、安倍政権の成功を称賛したいと思います。環太平洋連携協定(TPP)について、最初はアメリカが主導権を握って交渉していたのですが、トランプ政権になってからアメリカはその交渉から離脱し、TPPは死に絶えたとまで言いました。しかし、日本政府はそれを蘇生させました。良い例示だと思います。2021年1月にアメリカで新政権が発足したら、アメリカはまた戻ってくるかもしれません。

(構成=プレジデントオンライン編集部)
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