勤続年数「1年未満」の労働者の割合は、日本8%、米国22.6%、韓国31.5%。日本と労働慣行が似通っているといわれた韓国は、なぜ世界有数の転職社会になったのか。人事ジャーナリストの溝上憲文氏は「1997年の通貨危機以降、成果・実績主義が広がった。大企業でも“45歳定年”が慣行になるなど、成果を出さなければ退職を強いられる」という——。
世界でも転職率がかなり低い日本に比べて……
日本の若者は就職後の定着率が低い、とよく言われる。
それを象徴するのが学卒後3年以内の離職率だが、確かに2016年3月に卒業した大卒就職者の32%、高卒就職者の39.2%が3年以内に離職している。この傾向は過去20年以上ずっと変わらない。
3人に1人がすぐ辞めてしまう。この現状を踏まえると、日本はいかにも転職社会化したようにも思えるが、実際はそうではない。
日本人の勤続年数は諸外国に比べても長いのだ。各国の従業員の勤続年数のグラフをご覧いただきたい(「データブック国際労働比較2018」労働政策研究・研修機構)。
日本の勤続年数別雇用者の割合は、1年未満が8.0%、1~10年未満が47.5%、10年以上が44.5%となっている。
勤続1年未満がわずか8%ということは、転職したばかりの人が少ないということで、転職率が低いことを意味する。他国をみても、10%を切っているのは日本だけだ。