大人と子供では時間の感覚が違う

親からすればよかれと思って言ってしまう「頑張れ!」。しかし、言われた側が、「これまで頑張ってきていない」という意味に受け取ってしまうこともある。「自分は今まで頑張ってきたけれど、点数が上がらないのは、ダメな方法で勉強を続けてきたからなんだ……。どうせいまさら勉強をしたって、合格できないんだ……」と思わせてしまうのだ。

また、すでに自分の限界を超えるほど頑張っている子供にとっても、「頑張れ!」はしんどい。「僕はもうすでにこんなに頑張っているのに、まだ頑張らなくてはいけないの?」と負担に感じる言葉なのだ。

大人からすると、50日を切ったということは、もうすぐ本番の感覚だろう。けれども、人生経験の浅い小学生の子供にとっては、50日はまだ先の未来。この時間的な感覚のズレが、永遠に頑張り続けなければいけないという憂鬱ゆううつな気分にさせてしまうのだ。

父親ほど「もっと勉強しないとダメ」と言いがち

「もっと勉強しないとダメだぞ!」
「こんな成績では合格できないぞ!」

直前期になって、こういう否定的な言葉を言いがちなのがお父さんだ。特に自分自身が猛勉強をして受験に成功したという人に多い。「直前期は寝ずに頑張った」「参考書がボロボロになるまで暗記をした」「同じ問題集を3回もやった」など、自分は勉強量で受験に勝ったと思い込んでいる。だから、わが子もできるはずだし、できなければいけないと強制する。

しかし、それができたのは、おそらく大学受験の時のこと。精神的にも体力的にも未熟な小学生に同じことを求めること自体が間違っている。いつも子供のそばにいるお母さんなら、子供のこれまでの頑張りを見てきているし、自分の肌感覚で「そんなにたくさんの量の勉強は、この子にはできない」と分かるものだが、お父さんにはそれが分からない。