言ってはいけない「不合格」という言葉
「○○しないと、不合格になるぞ!」
「○○だと、不合格になるぞ!」
どんな言い方であっても、「不合格」という言葉は口に出してはいけない。直前期にもかかわらず、いまひとつ本人にやる気を感じないときに、発破をかけるつもりで思わず口にしてしまいがちな言葉だが、この言葉を投げられて、「よし! 頑張るぞ!」と気持ちを奮い立たせられるような子供はほとんどいない。
実は、子供はみんな合否のプレッシャーを感じている。親からみると、まったくやる気を感じられないような子供でも、やはり不合格は嫌なのだ。なかには、不合格だったときの言い訳を考えている子もいる。
「もし不合格になったら、お父さんとお母さんはがっかりするだろうな。おなかが痛くなって解けなかったと言おうかな」、こんなことを考えている子供がたくさんいるのだ。女の子の場合は、より具体的な言い訳を用意していることがある。女の子は家族のプレッシャーだけでなく、友達同士のプレッシャーも感じているからだ。
「もし私だけ不合格だったら、格好悪いな。『本当はあの学校には行きたくなかったんだよね。でも、親が受けなさいってうるさいから、受けてみただけなんだよね』って言おうかな」と、直前期に考えていることもある。そんなことを考えるくらいなら、最後まであきらめずに勉強をしてほしいのだが、そのくらい子供にとっては大きなプレッシャーがかかっていることを親は知っておいてほしい。
お母さんの不安を敏感に察知する子供たち
直前期になると、できていないことが気になるものだ。特にお母さんは、「あれもまだできていない」「これもまだできていない」と不安にかられる。
直前期のお母さんの相談は、2パターンに分かれる。一つは熱心なお母さんからの相談、もう一つは“おまかせ系”のお母さんの相談だ。前者は「あの単元のあの問題が出たらどうしましょう?」と相談の内容がやたらと細かい。後者は単に「大丈夫なのかしら?」と不安がる。いずれの相談にも、直前期はあれこれ細かくアドバイスをするよりも、まずはお母さんを安心させてあげることが大事だと思っている。
直前期になると、お母さんの多くは顔の表情が険しくなり、笑顔が消える。子供にとっては、それが一番つらい。「お母さんの元気がない。もし、僕が不合格になったら、お母さんはもっと元気がなくなってしまうかもしれない」「お母さんがピリピリしているということは、合格が危ないということなのではないか?」こんなふうに子供はお母さんの表情を見て、不安な気持ちを募らせてしまうのだ。