個人消費は好調だが、企業業績は微妙

今後の米国経済を占う上で大きなポイントは、個人消費と企業業績です。

個人消費は米国のGDPの約7割を支えています。企業業績は、個人消費にも大きく影響されますが、米国経済の屋台骨であるとも言えます。

まず、個人消費の状況を見ていくと、2016年は2.7%、2017年は2.5%、2018年は2.6%とまずまずの伸びを示しています。

私の経験では、米国経済が絶好調の時には、年率で5%程度の伸びがあります。リーマンショック前のサブプライムローンなどがあって「バブル」の頃には、一時期7%台で伸びていたこともありました。その頃と比べると、個人消費の伸び率は落ち着いていますが、そこそこの水準を維持していると言えます。

個人消費を「消費者信頼感指数」という観点から見てみましょう(図表2)。これは、コンファレンスボードというところが、毎月消費者のマインドを調査しているもので、1985年を100として指数化しています。個人消費にも大きな相関があります。

それを見ると、ここ数年、消費者の信頼感は顕著に上昇しているのが分かります。先にも述べたようにGDPの約7割を支える個人消費ですが、その主体である消費者のマインドは高いと言えます。

消費者信頼感指数と米ISM景気指数

2018年は「60」超だが、ここ数カ月は連続して「50」

一方、企業の景気に対する信頼感を表す「米ISM景気指数」を見ると、少し違った様相が見えます。これは、景気に敏感と言われる製造業の購買担当者を調査しているもので、「50」が、景気が良いか悪いかの分かれ目です。中国ではPMIと呼ばれる指数です。

これを見ると、2018年には「60」を超えていたのが、ここ数カ月は連続して「50」を切る状態が続いています。つまり、企業側、とくに製造業は景気が悪化しているとみているのです。今のところ、直近の7~9月期の企業業績(純利益)は前年同期比で1%減にとどまる見通しですが、今後の業績や設備投資の動きに注意が必要です。

つまり、これらのことを総合すると、消費者側から見たマインドは強いものの、企業側は、それほど景況感は良くないと感じているということになります。