冬場は日照時間が短いためセロトニンが不足する

いったい、冬になると症状が現われるのはどうしてなのでしょう。

奥村歩『「朝ドラ」を観なくなった人は、なぜ認知症になりやすいのか?』(幻冬舎)

その理由としては「冬は日照時間が短くなるせい」という説が有力です。日光はセロトニンの分泌と深く関係していて、日が短くなって日光を浴びる時間が少なくなると、自動的に分泌レベルが下がってきてしまうのです。

しかも、前の項で述べたように、女性はセロトニンの分泌が不安定で欠乏しやすい傾向があります。すなわち、もともと少なめのセロトニンが冬の日照時間短縮によってさらに少なくなってしまい、セロトニン不足によって情緒が不安定になってくるというわけです。

では、どうすればこの問題を解消できるのか。

対策はとにかくセロトニン分泌を促すこと。セロトニンは、肉に多く含まれるトリプトファンというアミノ酸を原料につくられるので、肉を意識的に摂るようにするのもひとつの手です。ただ、冬季うつ病の人は過食傾向が強まっているので、肉を食べすぎたりすればさらに太ってしまうリスクもあります。

うつうつとしたら「日向ぼっこ」がおすすめ

私がいちばんにおすすめするのは、光を浴びてセロトニン分泌を刺激する作戦です。この光は人工的なものでもよく、精神科や心療内科では「強い光を照射する治療法」を取り入れているところもあります。

それと、やはりもっとも手軽にできて効果も高いのは「日向ぼっこ」でしょう。お天気がいい日にベランダや縁側、公園のベンチなどでゆっくり日差しを浴びれば、気分がやわらいでうつうつとした心が癒されてくるはずです。秋冬の穏やかな日差しであれば、紫外線の害はそんなに心配しなくてもいいでしょう。

また、お金と時間に余裕がある方は、冬になったら思い切って南半球へ旅行に出かけるのもいいかもしれません。日本は冬でも、南半球は夏まっさかり。日照時間も長いでしょうし、たっぷりと陽光を浴びてセロトニン分泌をアップさせることができるのではないでしょうか。(続く)

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