続けることが自尊力にもつながり、次第に周囲からも認められる存在になりました。生涯、地道に研鑽けんさんを続けていった結果、科学者として数々の業績を残しながら、偉大な芸術家となったのです(おまけに後世、そのノートと絵画は、共に世界最高額で落札されました)。

日米通算4367安打を放ち、45歳まで現役を続けたイチロー選手も、まさに続けた人。試合前には決まったメニューのトレーニングをこなし、試合中は打席に向かう動作をルーティンとして守り、試合後は必ず道具を磨く。遠征先には枕を持ち歩き、自己管理を徹底しました。

大きな成果を上げるのは、「新しいことを始める人」とイメージしがち。でも「石と鉄」のたとえからもわかるように、「続ける」をダ・ヴィンチは徹底したのです。何かが生まれるのはその先。この順番を間違えてはいけないのでしょう。

「イノベーション」ではなく「リノベーション」で生み出せ

「人はみな、我流で制作しては、自分は描くのが上手だと思っている。このような欠点は、自然の作品から一切教えを受けずに制作し、作品をたくさんつくることだけを考えている人たちに見られる。画家は自分自身と対話しながら、自分の見ているすべてのものを熟考し、そこから最も卓越した部分を選ばなければならない」(ウルビーノ稿本)

日本ベンチャー白書などのデータによると、日本ではスタートアップ企業が生まれる比率が著しく低いことがわかっています。日本に比べてインドは3倍、中国は10倍、アメリカは45倍もイノベーション事業に力を注いでいます。

でも、悲観することはありません。日本はイノベーションをするよりも、リノベーションを得意とする国だからです。

「0から1」、つまり無から有を生み出すイノベーションに対し、リノベーションは既存のものを改良し、「1を2、あるいは3にも5にもすること」を言います。