なぜゴンザレスの担当回はあれほど面白かったのか

丸山ゴンザレスは異能の天才である。

その存在を世に知らしめたのはテレビ番組「クレイジージャーニー」(TBS系)だった。残念なことに番組は、ゴンザレスとは関係のない不祥事で突然終了してしまったが、この番組でゴンザレスは、ほぼ毎回、銃・売春・麻薬といった「都市の闇」を繰り返し報告していた。

「現地ルポ」を銘打った番組は数多くあるのに、なぜゴンザレスの担当回はあれほど面白いルポルタージュになったのか。筆者はその理由のひとつは、彼のバックグラウンドに「考古学」があるからだと考えている。

「丸山ゴンザレス 地球のカオス展」の様子
撮影=井出 明
「丸山ゴンザレス 地球のカオス展」の様子。丸山ゴンザレス氏の等身大パネルが出迎えてくれる。

今回、彼は初めての展覧会「丸山ゴンザレス 地球のカオス展」(10月4日~10月22日)を東京・池袋のパルコミュージアムで開いた。そこには考古学者としての彼の素養が存分に発揮されている。この展覧会の解説を通じて、丸山ゴンザレスの魅力をお伝えしたい。

彼は、國學院大学大学院の修士課程で考古学を修めた後、出版社勤務を経て、フリーのジャーナリストとして独立している。このため「考古学者崩れジャーナリスト」と自称することもある。

読者諸氏は、考古学というと、映画『インディージョーンズ』のように、俗世を離れて研究に打ち込むというイメージを持っているかもしれない。しかし近年、考古学の役割は急速に拡大している。発掘調査によって新たにわかることがあれば、どんな時代であっても考古学の出番が来るといってもいいぐらいだ。