日本の医学部ではなく、東欧の医学部に進学する日本人が増えている。ハンガリーのセンメルワイス大学に通う吉田いづみさんもその一人だ。最大の魅力は学費の安さ。日本の私大医学部は6年間で2000万円以上が普通だが、ハンガリーは6年間で1000万円程度。一体どんな大学なのか。吉田さんに聞いた――。
物心ついた時から「医師になりたい」
私はハンガリーのセンメルワイス大学医学部に通う5年生です。現在、ドイツでの就職を目指し、病院実習とドイツ語の勉強に励んでいます。なぜハンガリーで医師を目指しているのか。その経緯をお話しします。
私は心室中隔欠損症という先天性心疾患を持って産まれてきました。病気は生後10カ月の時に手術をして根治したのですが、病院生活が長かったせいか、物心ついた時には「医師になりたい」という夢がありました。また祖母の家が長崎大学医学部の近くにあったため、幼い頃から「私はここに行って医者になるんだ」とばかり思い込んでいました。
父は会社員で母は書道教室の先生をしており、私は3人兄妹の真ん中として育ちました。決して裕福ではありませんでしたが、両親は常に私たち兄妹3人のやりたいことを最優先にしてくれました。習い事もそろばんや剣道、水泳、バスケなど多くのことを経験させてもらいました。
高校受験の時には、都内の進学校を目指して3年間進学塾に通いましたが、思うようにいかず、医学部受験とは程遠い千葉の公立高校に進学しました。その高校では大学受験をする人は多くなく、環境に流されて成績は落ちる一方でした。医学部どころか、早慶進学も難しいほどだったのです。