中国人観光客の間では、大阪とそこに住む「大阪のおばちゃん」が人気なのだという。中国で日本の観光をPRする「行楽ジャパン」の袁静社長は「中国人に大阪のイメージをたずねると、必ず出てくるのが『熱情』というキーワード。情熱的でフレンドリー。世話好きで、親しみやすいと思われている」という――。

※本稿は、袁静『中国「草食セレブ」はなぜ日本が好きか』(日本経済新聞出版社)の一部を再編集したものです。

写真=ロイター/アフロ
大阪在住のおばちゃんらでつくるアイドルグループ「オバチャーン」=2019年6月26日

中国―関空の就航数は“羽田の3倍”と圧倒的

観光客や旅行会社に「なぜ大阪に行くのですか?」とたずねると、まず間違いなく「便利だし、安いし、ほかに考えられないよ。逆に、どうしてそんなこと聞く必要があるの?」という反応が返ってきます。

袁 静『中国「草食セレブ」はなぜ日本が好きか』(日本経済新聞出版社)

実際、中国からのLCC就航数は、関西国際空港までが週36便、成田空港までが週22便、羽田空港までが週11便と、圧倒的に関空が多い。

そんな訪日中国人の悩みは、旅の「足」です。レンタカーを借りて、好きなように移動することができない。

中国で個人保有されている自動車は1.8億台。私がプチ富裕層と名づけた人たちは、だいたい運転免許証をもっていると考えていい。まあ、運転手を雇っても月10万円はかからないので、日常的に自分で運転しているかどうかは別ですが。しかし、中国の運転免許証では、日本での運転が許されていないのです。

では、日本に来たとき、どうするのか? 東京は交通機関が発達していて、さほど不便を感じることはありません。でも、地方に行くと、電車が1時間に1本、バスが2時間に1本だったりして、ものすごく苦労する。団体旅行者は大型バスが送迎してくれますが、個人旅行者はタクシーをチャーターすることが多い。