文革時代の“ぶってない女”を引きずっている

大媽たちの子供は七〇後や八〇後で、エリートなら海外勤務になったりします。すると大媽もニューヨークまでついていき、グリーンカードをとって住む。で、アメリカの街角で広場ダンスをやったりするのです。ヨーロッパでもやっています。ネット上には「中国人の恥だ」という批判があふれている。

袁 静『中国「草食セレブ」はなぜ日本が好きか』(日本経済新聞出版社)

大媽たちは文革世代なのでちゃんとした教育を受けられなかったし、荒々しいところがあるのです。人と争うことにも、あまり抵抗がない。教育レベルが高くおとなしい「仏系」九〇後(1990年代生まれ)の対極にある。

文革前の上海にも上流階級がいました。たとえば上海ガニを食べるなら、食べ終わったあとの甲羅や足を組み合わせて1匹に復元できるぐらい、きれいに食べる訓練をした。上品な所作が身につくよう、きびしくしつけられたわけです。

しかし、文革時代になると、そうしたお嬢様文化はブルジョワ的だと批判されます。むしろ汚く食べ散らかして、専用器具を使わず口でべいべいしたほうが、「ぶってない女性」だと評価されるようになった。大媽たちは、そんな文化を引きずっている。

「マナーの悪い中国人」とよく言われるのは……

そんな大媽たちも、時間とお金に余裕はあるので、海外旅行には行きます。

この世代は、ポーズをとって写真を撮る。文革時代に流行したダンスの名残りです。そのために旅行先で、撮影ポイントを長時間、占領することになる。日本へ花見に来て桜の木にのぼったり、枝を折ったりするのも、この世代です。

旅館のアメニティでも、ドラッグストアの試供品でも、もらえるものは全部もらっていく。男性用化粧品もスリッパも根こそぎです。「盗むならともかく、タダであげるといわれているものを、もらわないなんてバカだ」という感覚なのです。

おそらく日本で「マナーの悪い訪日中国人」といわれる人の多くが、この世代ではないかと思います。でも、八〇後九〇後といった若い世代とはまったく別人種だということは強調しておきたいと思います。

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