八ッ場ダムも、通常運用時で水がある程度貯まっている状態であれば、今回の豪雨の水をどこまで貯めることができたのか、つまり通常運用時において今回の台風19号に対してまったく問題なく対応ができたのかの検証が必要であって、そのことは本メルメガ前号(Vol.171【「大豪雨」時代の治水行政(1)】台風19号豪雨被害で考えたい――未来世代の安全・安心のためには「ダムに頼る治水」でいいのか?)で論じた。

それで、そのオンライン版(橋下徹「八ッ場ダムは本当に機能するのか」 /再考・大豪雨時代の治水行政)における八ッ場ダムに疑問を呈したかたちの記事がネットで流れると、橋下はダムの否定者だ! ダムは必要だ! というネットの声が沸き起こった。

まずね、こういうネットの連中に言いたいのは、オンライン版だけを読んで済ますなよ、ということ。オンライン版は無料だから、当然、簡略版になっている。だから文中は(略)のオンパレードだ(笑)

(略)

僕はダム建設をすべて否定しているわけではない

お金を出して僕のメルマガの全文を読んで下さっている有料購読者の皆さんは理解して下さっていると思いますが、僕はダムを全否定していません。そうそう、僕は原発の全否定者とも思われているらしいが、そうじゃない。僕の主張はちょっと複雑なところがあって、なかなか伝わりにくいところがあると思う。だから、それはこの有料メルマガでガンガン論じていきたいと思う(笑)

話を元に戻すと、僕は、どうしてもやむを得ない場合に限ってダムを建設すべきであって、今は安易にダムが選択されており、それは最終的に住民の生命・安全を守ることにはつながらないというのが持論だ。

(略)

治水対策としては、河川の弱点部分を克服し水をきちんと流すことが基本。他方、ダムはそれとは逆に水を貯めることを基本としているので、河川の弱点部分に焦点が当たりにくいという最大の欠点があることを前号で指摘した。

さらにダムは、水を貯める限界を超えた時の危険性が、甚大になることも指摘した。

(略)

それと近日の報道でだんだん明らかになってきたけど、雨の降り方が予想外なものになってきている。ダムによる治水は、雨の降り方や山間部に降った雨がどのように川の源流に集まってくるか、そして源流以外に降った雨はどのように川に入ってくるかなど、緻密な計算で予測を立てて、それを基に治水計画を作っている。この計算による予測がでたらめなものだと言うつもりはないが、それでもあくまでも机上の論。

当然、予測を超えた自然災害などはいくらでも発生する。そもそも自然災害が、人間が計算し予測した通りに発生して推移するなんてこと自体がおかしいことなんだ。今回だって、当然予想外の雨の降り方や、川の源流への水の流れ方が多発した。

こういうときに、威力を発揮する治水対策というのは、水を貯めるダムではなくて、できる限り水が流れる河川の整備なんだよね。

(略)