上流が氾濫すれば下流が助かるという厳然たる事実

僕は大阪府知事のときに、大阪府内だけでなく、関西全体の治水行政に携わってきた。特に関西は淀川水系や大和川水系という大水系を抱え、淀川と大和川の河口域にある大阪平野は日本でも有数の大都市を形成している。

淀川と大和川という大河川に囲まれた低地の大阪平野は、いずれかの河川が氾濫し、ましてや堤防決壊にでもなれば、その都市機能は壊滅状態になる。だから、大阪において特に治水行政は重要だった。

このときに色々と学び、経験したことを基に、10月13日にフジテレビ系の番組「Mr.サンデー」に出演した際、

「治水行政にはシビアなところがある。上流で氾濫させて下流を守るという考えもある」と発言したんだ。

同じく出演していた元国土交通省官僚の布村明彦さんは、「行政は平等だから……」と建前として僕の考えを否定したけどね。

そうしたら、番組終了後、色んな意見が殺到したね。

「橋下が言うような話はあり得ない!」
「橋下がたわけたことを言っている!」
「そんな話があるなら、それは治水行政の闇だ!」

(略)

歴史を振り返れば、上流で氾濫すれば下流が助かるという事実が厳然として存在する。それが河川の自然な姿だ。もし、上流の氾濫を無理矢理抑え込めば、その分下流に水が来る。何も手立てを講じなければ、下流が氾濫するのは当然だ。

だから治水行政というのは、上流を氾濫させないように河川改修をする場合には、必ず下流の方からしっかりと河川改修をして下流で水が流れるようにしてから、上流を河川改修するというのが鉄則だ。

(略)