皇室関係者たちは皇室と国民を近づける努力をすべき
私は、皇室記事をやってはいけないなどといっているのではない。もっとやるべきだと思っている。だが、特定の人間をターゲットにして、伝聞推定のプライバシーを書き連ねることはいかがなものだろうか。
皇室は反論も名誉棄損で訴えることもないからと、真偽の不確かな情報で批判することは、これまでの新潮の赫々たる実績を知る者として、首を傾げざるを得ない。秋篠宮眞子さんと婚約したからといって、一私人である小室圭の母親のプライバシーを暴き立てるのも、お行儀がいいとは思わない。
開かれた皇室と謳いながら、当時よりも国民やメディアから遠ざかっている皇室のあり方には、私も疑問を持っている。
かつては、今より皇室が国民に身近だった。今の天皇が皇太子時代、1960年9月5日号の『週刊新潮』は「殿下、ズボンが太すぎます」という特集を組んでいる。当時の山田東宮侍従長がフランクにロング・インタビューに答えている。実におもしろい。
1982年9月20日号では、美智子上皇后の実父・正田英三郎のインタビュー「美智子妃のご実家 正田家の『栄光のなかの孤独』」を掲載している。その中で正田の本音を見事に引き出している。
「もしも、あの時、娘が皇太子妃になっていなかったら……。いまさらいったって始まらないから、考えたこともありませんがね」
皇室の関係者たちは、もっとメディアに出てきて、皇室と国民との距離を近づける努力をするべきだと、私は考える。
新潮も新潮らしく、皇室に対しても怯むことなく堂々と批判すべきところはしてほしい。週刊誌だけではなく、新潮社全体が、かつてのような輝きを取り戻すことを期待したい。(文中敬称略)