睡眠も進化していく
哺乳類と鳥類では、脳波のパターンによるレム睡眠が認められます。睡眠には、レム睡眠とノンレム睡眠の2種類があり、ノンレム睡眠はすべての動物が行っている眠りで、体や脳の機能を回復するためのものです。レム睡眠は、記憶、学習の強化に必要とされる眠りで、ヒトでは夢を見る眠りです。動物が夢を見るかはわかりませんが、高等動物になるほど生活も複雑になっていくため、睡眠も進化していくのでしょう。
また、その動物特有の睡眠進化もあります。イルカなど水棲の哺乳類は、泳ぎ続けるために、左右の脳を片方ずつ眠らせます。「半球睡眠」といって、渡り鳥もこの方法で飛び続けながら寝ています。
このように動物の睡眠行動を調べていくと、どの睡眠にも「恒常性の維持」というルール(行動学的基準)があることがわかります。つまり、睡眠不足だと寝溜めして取り戻そうとするのです。
このような研究はおもに飼育動物で行われており、ザリガニやショウジョウバエなどでも睡眠を妨げられると、その後の睡眠時間がいつもより増加します。
私は遺伝学者で、センチュウの研究をしていました。細胞数が1000個しかない原始的な生物ですが、それでも成長段階に応じて何度か「眠り」といえる行動を取り、それを妨げると次の睡眠が長くなります。
人間も含め、どんな動物でも睡眠行動を持つものは、睡眠不足になるとそれを解消しなければ生きていかれないのです。
▼ザリガニやハエも、睡眠不足を取り戻そうとする
(構成=南雲つぐみ)