イヤな夢ばかり見るとき、夢日記をつけると逆にその夢の内容が忘れられなくなり、逆効果だ――という俗説がある。松田英子教授(東洋大学社会心理学科)にその真偽と夢日記の正しいつけ方を聞いた。

Q. 夢日記をつけると精神が不安定になる?

「その日のできごと」も書いておく

イヤな夢が気になるのは、それが実際に起こるのではという恐れがあるからではないでしょうか。心理学では、「悪いことが起こる」という予測にとらわれて積極的な行動がとれなくなることを「ネガティブな自己成就的予言」といいます。本来はもっとニュートラルな対応のできる人なのに、その夢のせいで悪い結果を自分が引き寄せてしまうのです。

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そこで、重要なのは夢の解釈のしかたです。

こうした場合は、むしろ夢日記をつけることをおすすめします。ポイントは、「見た夢」だけでなく「その日の主要なできごと」を書いておくこと。夢の覚えている部分だけ、ふだん使っているダイアリーにメモしておくのでもいいでしょう。

夢には、現実の出来事が2、3日~1週間ぐらいたって出てくることがよくあります。夢と現実の出来事を併記しておくと、何がトリガー(引き金)になってその夢を見たか、どんな記憶がミックスされてその映像になったかがわかってきます。すると、「夢」と「現実」の事象が整理されて「悪い夢がいつも実現化する」というわけではないことが実感できます。