よりよく生きていくため
夢の役割は、記憶の整理や定着、感情の処理にあります。その情報処理の目的は、人を不安にさせるためではなく、よりよく生きていくためにあることは間違いありません。
イヤな夢だと思っていたものも、客観的に見ることができればセルフモニタリングになります。自分の体調や健康、家族、仕事のことなど、今起きていることについて、その人が今、何を不安に思っていて、今後どのような対処をしたほうがよいかということを、夢を見ることでわかる場合もあるのです。
たとえば、学生時代に疎外感を感じた体験を夢に見て、社会人になった今も繰り返し夢に見るという場合は、その人が今同じような気持ちを抱いている可能性があります。そのことに気付くことが重要なのです。夢日記をつけて、自分が不安だと思っている要素を洗い出す手掛かりにしてみるといいでしょう。
「追われる」「襲われる」「~がない(失う)」など夢がいつもイヤな終わり方をするとき、起きたあとに、その筋書きや結末を書き換えてポジティブなイメージを足していくのもいいです。これは「イメージ・リハーサル・セラピー」といって心理療法の1つです。ただし、ポジティブな内容に書き換えるといっても、どういう結末なら納得がいくかは人によって違います。自分にとってしっくりくる内容にすることが大切です。
▼イヤな夢をポジティブな内容に書き換えるのもいい
(構成=南雲つぐみ)